経営者・役員の節税として定番の「小規模企業共済」。掛金が全額所得控除になり、個人の所得税・住民税が下がることはよく知られています。実は、これを役員報酬の設計と組み合わせると、会社の法人税まで軽減できる——今回は、この“三重の節税”の考え方を解説します。

まず基本|掛金は全額が「所得控除」になる

小規模企業共済の掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。この所得控除は、所得税だけでなく住民税の計算でも同じように差し引かれるため、課税所得が減り、結果として住民税も下がります。

住民税の軽減はいくら?=ほぼ「掛金 × 10%」

住民税の所得割は、ほぼ一律で税率10%(市区町村民税6%+道府県民税4%)です。したがって、目安として次のように計算できます。

住民税の軽減額 ≒ 年間の掛金 × 10%

月額掛金 年間掛金 住民税の軽減目安(掛金×10%)
1万円12万円約1.2万円
3万円36万円約3.6万円
7万円(上限)84万円約8.4万円

※ これは住民税だけの目安です。所得税(税率は所得に応じて5〜45%)でも別途軽減されるので、トータルの節税額はこれより大きくなります。

【ポイント】役員報酬を増やして掛金にすれば、法人税も節税

ここからが本題です。会社役員の方であれば、役員報酬の設計と組み合わせることで、法人税の節税まで狙えます。考え方はシンプルです。

三重の節税になる仕組み(役員報酬を84万円増額する例)

① 法人税が減る
役員報酬を年間84万円(月7万円)増額します。増額した役員報酬は会社の損金になるため、その分だけ会社の利益が減り、法人税が軽減されます。

② 所得税・住民税が減る
増やした84万円を、そのまま小規模企業共済の掛金(年84万円=月7万円の上限)に回します。掛金は全額所得控除になるため、増えた役員報酬に対する所得税・住民税を、掛金控除で抑えられます

③ お金は「自分の共済」として積み立てられる
支払った掛金は税金ではなく、将来受け取れる自分の積立です。廃業・退職時などに共済金として戻ってきます(受取時も税制優遇があります)。

つまり、「会社は法人税を、個人は所得税・住民税を軽くしながら、そのお金は自分の将来資金として積み立てる」——これが、小規模企業共済と役員報酬を組み合わせる最大の魅力です。

実行するときの注意

役員報酬の増額は、原則として期首から毎月同額で設定するなど、事前の設計が必要です(期の途中で自由に増やすと損金にできないことがあります)。また、報酬を増やすと社会保険料の負担も増えるため、トータルの損得は個別に試算して判断することが大切です。

加入・控除の注意点

  • 掛金は月額1,000円〜70,000円の範囲で設定できます(500円単位)。
  • 控除を受けるには、確定申告(または年末調整)で掛金払込証明書を添付する必要があります。
  • 住民税は前年の所得をもとに翌年度に課税されるため、軽減効果が反映されるのは翌年度の住民税からです。

役員報酬とあわせた節税設計はご相談ください

小規模企業共済は、役員報酬・社会保険料・法人税まで含めて設計することで効果が大きくなります。当事務所では、会社と個人のトータルで有利になるプランをご提案します。あわせて役員賞与のコラム節税商品のご提案もご覧ください。

※本記事は一般的な解説です。節税額の目安は概算であり、実際の税額・有利判定は所得や社会保険料など個別の状況により異なります。詳しくは当事務所または中小機構・国税庁の情報をご確認ください。

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