「フェラーリやベントレーなどの高級外車を、会社の経費で買えるのか?」——経営者の方からよくいただくご質問です。「ベンツ(4ドアセダン)はOKだが、フェラーリ(2ドアのスポーツカー)はダメ」という話も広まっていますが、これは正確ではありません。結論から言えば、高級外車も、事業で使っていれば法人の経費(減価償却費)にできます。有名な裁決例(フェラーリ事件)をもとに、認められるための条件を解説します。

「ベンツはOK、フェラーリはダメ」は都市伝説

税務上の減価償却のルールは、ベンツもフェラーリも基本的に同じです。車種や趣味性で耐用年数が変わることはありません。

  • 新車の普通乗用車 法定耐用年数は一律6年。高級車でも同じで、6年かけて減価償却します(1年で全額は不可)。
  • 中古車 経過年数に応じて耐用年数が短くなり、4年落ち前後なら耐用年数2年。定率法なら初年度に大部分を費用化できる可能性があります(※取得時期により月割り)。これが「節税で中古高級車が人気」の理由で、フェラーリでも同じです。

つまり、「2ドアだからダメ」「スポーツカーは落ちない」といった車種による線引きは、ルール上ありません。2000年代のベストセラー『なぜ社長のベンツは4ドアなのか?』などの影響で、こうしたイメージが広まったと言われています。

本当の分かれ目は「事業で使っている実態」を説明できるか

違いが出るのは、税務調査での「事業に必要か(プライベートの趣味ではないか)」の説明のしやすさです。フェラーリのようなスポーツカーは趣味性が高いとみなされやすく、調査で「個人的趣味では?」と指摘されやすいのは事実。ただし、絶対に否認されるわけではありません。

有名な裁決例「フェラーリ事件」(平成7年10月12日裁決)

高級車の経費性を語るうえで欠かせないのが、国税不服審判所の有名な裁決例です。消費者金融業を営む法人が購入した「クルーザー」と「フェラーリ」について、税務署が「個人の趣味で事業用ではない」として経費性を否定。会社が争った結果、クルーザーは否認(損金不算入)、フェラーリは経費(損金)として認められました。

確認された論点クルーザー(否認)フェラーリ(認容)
利用実績の客観的証拠運行記録がなく実績不明車検記録で約7,600kmの走行を確認
社内規定・ルール利用規定・福利厚生ルールなし旅費規程に沿い交通費は不支給
私用との区分プライベート利用との区別が曖昧個人所有の外車は経費にせず明確に区分

なぜクルーザーは否認されたのか

会社は「取引先の接待・従業員の福利厚生目的」と主張しましたが、認められませんでした。理由は明確です。

  • 航海日誌や運行記録がなく、「誰を・いつ・どんな目的で」乗せたのか説明・立証できなかった
  • 福利厚生としての利用規定がなく、従業員が使った実績も一切なかった

フェラーリが認められた3つの決定的な理由

  • ① 走行実績が証明された 購入から3年で約7,600km走行した車検記録があり、「全国の支店巡回・出張に使用」という主張と整合していました。
  • ② 旅費規程の運用(交通費の不支給) 就業規則に旅費規程が整備され、社用車のフェラーリで出張した際は電車代などの交通費を支給していなかった。仕事の移動手段として実際に使っていたことが推認されました。
  • ③ プライベート車との明確な区別(最重要) 社長は個人で外車を別に所有し、それらは一切会社の経費にしていなかった。「仕事用(フェラーリ)」と「私用(自家用車)」をはっきり分けていたことが、信頼性を大きく高めました。

まとめ:高級車を経費にするための防衛策

どれほど高額でも、2ドアのスポーツカーでも、「事業のために実際に使っていること」と「それを第三者に客観的に証明できる証拠があること」——この2点が揃えば、税務調査で正々堂々と経費性を主張できます。逆に、証拠がなければ、たとえベンツでも否認されえます。

購入前から、次の3つを準備しておきましょう

運行記録簿(訪問先・走行距離・目的のメモ)を日々つける
旅費規程を整備し、社用車利用時の運用をルール化する
個人の自家用車と明確に使い分ける(私用車は会社の経費にしない)

高級車の経費処理が認められるかは、税理士だけでなく、納税者ご自身の日々の記録と運用にかかっています。

高級車の購入・経費処理は、買う前のご相談を

当事務所では、社用車としての高級車購入の税務リスクの見極め、減価償却の設計、税務調査で否認されないための証拠づくり・規程整備までサポートします。新車か中古か、どのタイミングで買うかでも効果は変わります。法人税率のしくみ節税商品のご提案もあわせてご覧ください。

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※本記事は一般的な解説です。高級車の経費性は使用実態など個別の事情により判断され、必ず認められることを保証するものではありません。実際の購入・申告にあたっては、当事務所または国税庁・国税不服審判所の情報をご確認ください。

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