「法人税率は何%ですか?」とよく聞かれますが、実は法人税率は一定ではありません。同じ普通法人でも、会社の規模や所得の大きさによって適用される税率が変わります。本コラムでは、普通法人を対象に、基本税率・中小法人の軽減税率・そして実際の負担を示す「実効税率」の考え方を整理します。役員報酬の設計にも直結する大切な知識です。
普通法人の基本税率は23.2%
普通法人(株式会社・合同会社など)の法人税の基本税率は、23.2%です。ただし、これはあくまで「基本」で、後述する中小法人には、所得の一部に低い税率(軽減税率)が適用されます。
中小法人は「年800万円以下」の部分に軽減税率
資本金1億円以下などの中小法人は、所得のうち年800万円以下の部分に軽減税率が適用されます。本則は19%ですが、租税特別措置により15%に引き下げられています。
| 区分(中小法人) | 法人税率 |
|---|---|
| 所得のうち 年800万円以下の部分 | 15%(本則19%) |
| 所得のうち 年800万円を超える部分 | 23.2% |
たとえば所得が1,000万円の中小法人なら、800万円までは15%、超える200万円は23.2%という形で、段階的に計算されます。所得が大きい会社ほど、平均的な税率は23.2%に近づいていきます。
【令和7年度改正】軽減税率15%の延長と見直し
この15%の軽減税率は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度まで適用が延長されました。あわせて、次の見直しが行われています。
・所得の金額が年10億円を超える事業年度は、800万円以下の部分の税率が17%に
・グループ通算制度の適用を受ける法人は、軽減税率の対象外(19%)
・前3事業年度の平均所得が15億円を超える「適用除外事業者」は、800万円以下の部分も19%
実際の負担は「実効税率」で見る
会社が利益に対して負担するのは、法人税だけではありません。法人住民税・法人事業税・特別法人事業税などの地方税も加わります。これらを合わせて、所得に対する実質的な負担割合を示したものが「実効税率」です。会社の税負担を考えるときは、この実効税率で見るのが実務的です。
中小法人の実効税率の目安
地方税を含めた中小法人の実効税率は、おおむね次のような水準が目安です(自治体や所得規模により変動します)。
・所得 800万円以下の部分 … 実効税率 20%台前半
・所得 800万円超の部分 … 実効税率 およそ33〜34%
※上記はあくまで一般的な目安です。実際の税率は、事業所の所在地や超過課税の有無などにより異なります。
なぜ法人税率のしくみが重要なのか
法人税率が「所得の大きさで段階的に変わる」ことは、一人社長の役員報酬の設計に直結します。個人の所得税は所得が大きいほど税率が上がる超過累進(5〜45%)+住民税10%です。そのため、役員報酬と法人利益の配分は、「法人の限界実効税率」と「個人の限界税率(所得税+住民税)」を見比べて考えるのが基本になります。
役員報酬とセットで考えましょう
「会社に利益を残す(法人税)」か「役員報酬で受け取る(所得税・社会保険料)」かは、この法人税率のしくみを前提に、社会保険料まで含めて最適点を探します。詳しくは一人社長の役員報酬の決め方のコラムをご覧ください。
※本記事は一般的な解説です。普通法人を前提としており、税率・軽減税率の要件や適用期限、実効税率は、法人の区分・所得金額・所在地や制度改正により異なります。詳しくは当事務所または国税庁(タックスアンサーNo.5759ほか)の情報をご確認ください。