不動産管理会社の方へ。海外在住の個人(非居住者)が日本で購入した不動産について、賃貸管理や修繕の手配を業務委託として受託することがあります。このとき、オーナーに請求する管理委託料に消費税はかかるのでしょうか。「相手が海外の非居住者だから、輸出免税で消費税はかからないのでは?」——そう考えてしまいがちですが、答えは「課税」です。その条文根拠を、図を交えて解説します。

原則:非居住者への役務提供は「輸出免税」になることがある

消費税は、国内で行われる取引に課税されます。そして、非居住者に対して行われる役務の提供は、一定のものについて「輸出類似取引」として免税(輸出免税)とされています(消費税法7条、消費税法施行令17条2項7号)。この原則だけを見ると、「非居住者への管理サービスも免税では?」と思えてしまいます。

【例外】国内不動産の管理・修繕は「課税」になる

ところが、この輸出免税には例外があります。非居住者への役務提供のうち、「国内において直接便益を享受するもの」は、免税の対象から除かれ、消費税が課税されます(消費税法施行令17条2項7号ハ)。

そして、消費税法基本通達7-2-16は、この「免税とならないもの(=課税されるもの)」の例として、「国内に所在する不動産の管理や修理」を明示しています。つまり、非居住者オーナーが所有する国内不動産の賃貸管理・修繕手配の管理委託料は、オーナーが非居住者であっても、国内での消費に該当し、消費税が課税される取引になるのです。

当事者の関係と消費税の判定 海外在住オーナー (非居住者) 不動産管理会社 (日本) ① 管理を委託・管理委託料を支払う 国内にある不動産 (賃貸・管理の対象) ② 賃貸管理・ 修繕を手配 (役務の提供) オーナーが非居住者でも、国内の不動産に係る役務は「国内で直接便益を享受するもの」。 → 輸出免税の“例外”にあたり、管理委託料に 消費税が課税 されます
非居住者オーナーの国内不動産の管理委託料は、消費税の課税対象

なぜ「国内消費」とされるのか

消費税は「国内での消費」に負担を求める税です。管理や修繕というサービスは、日本国内にある不動産に対して、国内で行われ、その便益も国内で生じます。オーナーが海外にいても、サービスそのものは国内の資産に向けられ、国内で消費されている——だからこそ、輸出免税の例外として課税される、という考え方です。

管理会社の実務での注意点

  • 管理委託料には消費税を上乗せして請求する 「非居住者だから免税」と誤って消費税を受け取らずにいると、後で納税義務だけが残り、自社の負担になりかねません。課税取引として正しく請求しましょう。
  • 国内不動産の仲介手数料なども同様 非居住者に対する国内不動産の売買・賃貸の仲介手数料なども、同じ考え方で課税される取引とされています。
  • インボイス(適格請求書)も通常どおり 課税取引であるため、適格請求書発行事業者であれば、通常どおりインボイスの交付が必要です。

非居住者がらみの消費税は、判定が分かれます

非居住者に対する役務提供は、「免税になるもの」と「課税になるもの」の線引きが難しく、取引の内容によって結論が変わります。不動産管理会社・仲介会社の消費税は、誤ると後からの追徴や自社負担につながります。当事務所では、宅地建物取引士の資格を持ち自ら不動産業にも携わる税理士として、不動産業・管理業の消費税を、インボイス対応まで含めてサポートします。あわせて非居住者の不動産売却のコラムもご覧ください。

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※本記事は一般的な解説です。非居住者に対する役務提供の消費税の取扱いは、取引内容や個別の事情により異なります。実際の判断にあたっては、当事務所または国税庁(タックスアンサーNo.6567、消費税法基本通達7-2-16ほか)の情報をご確認ください。

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