従業員の給与を上げると、その増えた分の一定割合を、法人税額から直接差し引ける——それが「賃上げ促進税制」です。以前は「所得拡大促進税制」と呼ばれていた制度で、名称が変わりました。中小企業なら、給与の増やし方しだいで最大45%もの税額控除が受けられます。賃上げと節税を両立できる、使わないともったいない制度です。

【結論】給与の「増加額」×控除率を、法人税から直接差し引ける

・雇用者給与等支給額が前年度比 +1.5%以上 → 増加額の 15% を税額控除
・+2.5%以上 なら → 30%、さらに上乗せ要件で 最大45%
・控除の上限は その年の法人税額の20%
・対象:中小企業者等(+個人事業主)/適用:令和6年4月1日〜令和9年3月31日開始事業年度

賃上げ促進税制のしくみ ① 給与を増やす 従業員の給与総額を 前年度より+1.5%以上 ② 増加額を税額控除 増やした分 ×(最大45%)を 法人税額から直接マイナス ③ 法人税が 下がる ※控除の上限はその年の法人税額の20%。控除率は要件により15%〜最大45%。
給与を上げた中小企業は、増加額の最大45%を法人税額から直接控除できる

どんな制度?(旧・所得拡大促進税制)

賃上げ促進税制は、従業員への給与を前年度より増やした会社が、その増加額の一定割合を法人税額から控除(差し引き)できる制度です。所得控除(経費)ではなく「税額控除」——つまり、計算された法人税そのものから直接差し引けるため、節税効果が大きいのが特徴です。

控除率のしくみ(最大45%)

中小企業向けの控除率は、次の要件を満たすごとに積み上がっていきます。

要件控除率
① 給与総額が前年度比 +1.5%以上(必須)15%
② 給与総額が前年度比 +2.5%以上(①に上乗せ)+15% → 30%
③ 教育訓練費が前年度比 +5%以上(上乗せ)+10%
④ 「くるみん」「えるぼし」等の認定(上乗せ)+5%
最大45%

※「給与総額」とは、国内の従業員に支払った給与等(雇用者給与等支給額)です。役員やその親族などへの給与は含みません。

控除額の計算と上限

控除額は、次のように計算します。

控除額 = 給与総額の「前年度からの増加額」 × 控除率

計算イメージ

・前年度の給与総額 5,000万円 → 今年度 5,200万円(増加額200万円・+4%)
・+2.5%以上の要件を満たし、控除率30%の場合
→ 200万円 × 30% = 60万円を法人税額から直接控除

ただし、控除できるのはその年の法人税額の20%までという上限があります。

適用できる期間

中小企業向けの賃上げ促進税制は、令和6年(2024年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までの間に開始する事業年度が対象です。

赤字・控除しきれないときは「繰越控除」も(中小のみ)

令和6年度改正で、控除しきれなかった分を最大5年間くり越せる「繰越控除」が新設されました(中小企業のみ)。赤字の年や、法人税額の20%上限で使い切れない年でも、賃上げの効果を将来に活かせます。詳しくは、本シリーズの「繰越控除」のコラムで解説します。

注意点

  • 対象は「従業員」への給与 役員やその親族などへの給与は、給与総額に含まれません。賃上げの判定は、従業員ベースで行います。
  • 明細書の添付が必要 適用を受けるには、申告書に所定の明細書を添付する必要があります。特に繰越控除を使う場合は、毎期の継続添付が条件です。
  • 給与総額の管理がカギ 賞与の増減などで給与総額が前年度を下回ると適用できません。年間の給与計画の中で意識しておくことが大切です。

賃上げ税制の活用は、当事務所にご相談ください

賃上げ促進税制は、控除率の判定(教育訓練費・認定の上乗せ)や、繰越控除の手続きまで含めて設計することで、効果が大きくなります。当事務所では、給与計画とあわせて、使える控除を取りこぼさないようご提案します。節税商品のご提案や法人税率のコラムもご覧ください。

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※本記事は一般的な解説です。賃上げ促進税制の要件・控除率・上限は、法人の区分や個別の事情、最新の制度改正により異なります。実際の適用にあたっては、当事務所または国税庁(タックスアンサーNo.5927-2ほか)・中小企業庁の情報をご確認ください。

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