「主要な大口の取引先を失い、又は取引が終了し、前期・前年に比べて売上が大きく落ち込んでいる」——こんなとき、資金繰りに追い打ちをかけるのが「予定納税(中間申告)」です。予定納税は前年の実績で金額が決まるため、今期どれだけ業績が悪化していても、前年の好調時をもとにした重い納税がやってきます。そこで検討したいのが「仮決算による中間申告」。今期の実際の業績で中間納付額を計算し直すことで、納税負担を抑え、手元の資金を残す(キャッシュフローを改善する)ことができます。

そもそも「予定納税(中間申告)」とは

法人税や消費税は、1年分をまとめて払うのではなく、事業年度(課税期間)の途中で、いったん「中間申告・納付」をする仕組みがあります(前年の税額が一定以上の場合)。その原則的な方法が「予定申告」です。

予定申告は「前年の実績」で機械的に決まる

予定申告の中間納付額は、前事業年度(前課税期間)の確定税額をもとに、おおむねその半分(消費税は回数により1/2・1/4・1/12)を機械的に計算します。今期の業績はいっさい反映されません。

【問題】業績が急降下しても、前年ベースの納税がくる

ここが落とし穴です。たとえば前期は大口取引先のおかげで好調だったが、その取引先を失い(又は取引が終了し)今期は売上激減——という場合でも、予定申告では「好調だった前年」をもとにした税額を納めることになります。「儲かっていないのに、前年並みの税金を前払いさせられる」状態で、ただでさえ苦しい資金繰りをさらに圧迫してしまいます。

【解決】仮決算による中間申告で、今期の実額に

そこで使えるのが「仮決算による中間申告」です。これは、事業年度の上半期(6か月)を一つの事業年度(課税期間)とみなして"仮の決算"を行い、実際の業績に基づいて中間納付額を計算する方法です。

業績が大きく下がっていれば、仮決算で計算した中間納付額は、前年実績による予定申告額よりも少なくなります。その差額の分だけ、納税の前払いを減らし、手元に資金を残す=キャッシュフローを改善できます。これは法人税・消費税のどちらでも選べる方法です。

中間納付額の比較イメージ(売上が大きく下がった期) 前年ベースで高い 予定申告 (前年の実績で計算) 今期の実額で低い 仮決算 (今期の実績で計算) この差額が 手元に残る =資金繰り改善
業績が下がった期は、仮決算により中間納付を抑えられる場合がある

法人税・消費税それぞれのポイント

法人税消費税
中間申告が必要な目安 前事業年度の確定法人税額が一定額(おおむね年20万円超)の場合 前課税期間の確定消費税額(国税分)に応じて回数が決まる
予定申告(前年実績) 前期の確定税額のおおむね2分の1 48万円以下=原則不要/48万超〜400万=年1回/400万超〜4,800万=年3回/4,800万超=年11回
仮決算による中間申告 上半期(各中間期間)を実額で計算。業績悪化時は納付額を抑えられる

仮決算を選ぶときの注意点

  • 決算・申告の手間がかかる 上半期の時点で、いったん決算を組んで申告する必要があります。通常の中間(予定申告)より事務負担は増えます。
  • 中間で「還付」は受けられない 仮決算で計算した税額がマイナスでも、中間申告で還付は受けられません(納付額はゼロが下限です)。
  • 有利な方を、期限内に選ぶ 仮決算額が予定申告額を上回る場合は、予定申告のままにすれば十分です。どちらが有利かを中間申告の期限までに判断することが大切です。

資金繰りが厳しいときこそ、中間申告の見直しを

主要取引先の喪失・取引終了や急な売上減少で資金繰りが厳しいときほど、「前年並みの予定納税をそのまま払うか、仮決算で抑えるか」の判断が効いてきます。当事務所は、金融機関対応・資金調達を強みとする税理士として、仮決算の要否判断から、資金繰り全体の改善まで一体でサポートします。金融機関対応支援・資金調達支援のページもご覧ください。

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※本記事は一般的な解説です。中間申告の要否・金額や仮決算の有利判定は、個別の状況や最新の制度により異なります。実際の判断にあたっては、当事務所または国税庁の情報をご確認ください。

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