相続が発生し、遺言書が残されていなかった場合、遺産を「誰が」「どのように」引き継ぐのかは、相続人同士の話し合いで決めることになります。その話し合いが「遺産分割協議」であり、決まった内容を書面にまとめたものが「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議とは
亡くなった人が遺言書を残していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議をして、誰がどのように遺産を引き継ぐのかを決めます。預貯金や不動産など、被相続人が残した相続財産のほぼすべてが、遺産分割協議の対象となります。
協議は相続人全員の参加・合意が必要です。一人でも欠けたまま行った協議は無効となるため、まずは戸籍謄本などで相続人が誰であるかを正確に確定させることが出発点になります。
遺産分割協議書の役割
遺産分割協議書は、話し合いで合意した内容を証拠として残す書面です。作成が法律上必ず義務づけられているわけではありませんが、次のような場面で必要となるため、実務上はほぼ必須といえます。
- 不動産の相続登記(名義変更)を行うとき
- 被相続人の預貯金を解約・払い戻しするとき
- 自動車や有価証券などの名義を変更するとき
- 相続税申告に、分割内容を証する書類として添付するとき
また、合意内容を明確に書面化しておくことで、後日の「言った・言わない」といった相続人間のトラブルを防ぐ効果もあります。
主な記載事項
決まった様式はありませんが、一般的に次の内容を記載します。
- 被相続人の氏名・死亡日・本籍など
- 相続人全員の氏名・住所
- 誰がどの財産を取得するか(不動産・預貯金・有価証券などを具体的に特定)
- 債務や葬儀費用の負担者
- 後日発見された財産の取扱い
- 相続人全員の署名・実印による押印
不動産は登記事項証明書のとおりに、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで正確に記載します。作成後は、実印での押印に加えて相続人全員の印鑑証明書を添えるのが一般的です。
相続税申告との関係
相続税の申告期限は、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。この期限までに遺産分割協議がまとまらないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった、税負担を大きく軽減できる特例が使えないまま申告することになりかねません。
特例を最大限に活かすためにも、相続財産の把握と分割の方針は、なるべく早い段階から進めておくことが大切です。
相続税申告・遺産分割のご相談はお早めに
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※本記事は一般的な解説です。具体的な手続きや税務の取扱いは、個別の状況により異なります。詳しくは当事務所または専門家にご相談ください。